日本の黒幕(フィクサー)【DVD】
佐分利信という大俳優というか傑出した個性は二度とあらわれないだろう。
(映画監督としても『叛乱』(1954)などの秀作を世に残す。傑出した映画人であった)
『日本の首領』3部作は、俳優・佐分利信の真価を十二分に描き切った傑作フィクション。
かつどこのレンタル屋に行っても常備してある、それ系映画の巨編。
一体、この佐分利のモデルは誰か。
地理的状況とその佐分利が演じきった個性をして考えれば、田岡一雄が近いのだろうが(一応そういうことらしいが)、
状況証言や、各種文献を漁っても、彼が首領たらんとした形跡も動機もない。
なぜなら彼は「任侠」の世界の秩序維持と正業の確保のみを是とし、それに腐心した人物だから。
(貶めるつもりで言っているのではない、ある意味高く評価してのことである。
この点は宮崎学氏の『近代ヤクザ肯定論 山口組の90年』に詳しい)。
第2部の『野望篇』での三船敏郎演ずる関東の首領については擬する人物はいない。
ただ第3部の『完結篇』での片岡千恵蔵演ずる右翼の大物=児玉誉士夫については疑う余地がない。
(1・2部では内田朝雄が演ずる)
首領というかフィクサーを模する人物は例えば、
『野望篇』で小沢栄太郎演ずる田中清玄が登場するが、彼が首領たらんとした事実はない。
(自伝なるものが残されているが、彼が旧会津藩の上級士族出身であることと、そもそも彼自身知的レベルの高い
ある意味「稀有壮大」な人物であったことは事実なので、この「自伝」の講読には注意しなければならない)
では、3部作に常に付きまとう田中角栄=小佐野賢治(この二人は表裏一体であることは周知の事実)なのか?
彼(ら)は、あくまで「田中角栄」という人格が表の「首領」たらんとし、半分は成功しかけたが、
複雑な閨閥関係を基盤としたエリート層の壁は厚かった。フィクサー的イメージではむしろ岸信介のほうが近い。
要するに、フィクサー的な人物というより怪物(ないし傑物)と模せられる人物たちが実在し、
日本の近・現代史の裏面の要所要所に表出し、政治や経済などの表舞台をリードした事実は確かにあった(ある)。
あえてそれら人物をここで列挙はしないが、そういう人物たちが歴史に介在してきた事実、
もしくは介在しうる余地がこの社会にあった(ある)事実は粛然として認めざるを得ない。
(この意味でイタリアと日本はある意味五十歩百歩なのかもしれない)
佐分利演ずる佐倉一誠、三船敏郎演ずる大石剛介はその複合的イメージの産物であろう。
同時にこのことは我々がそういうイメージを社会として欲していた(ている)何よりの証ではないか?
とまあ、理屈は抜きとして純粋なフィクションとして、本当に「面白い」映画である。
これでもかというくらいのオールスターの布陣。もはや再現不能である。
かすちけけ―田村信ゴールデンデラックス
タイトル作「かすちけけ」はいいんですが、時期的に後になるほど絵がうまくなり、江口寿史に近くなる。
尻にしり、箱にはこ、と書いてあるのは、あの絵だからこそ、より「へみーん」と力が抜けて(もちろん褒め言葉)よかったのに。
書かなくてもはっかりわかるうまい絵に毛筆で「しり」とかかれてもあの味はちょっと・・・・
できんボーイやあっかんマンでみせたあの怒濤のボケは表題作以外では見あたりません。「カスですな」というのは世界で田村信ひとりに限り、褒め言葉であったわけですが・・・・。
というわけで(どういうわけじゃっ)私のような「田村信者」にしかおすすめはできません。ひえええええっ(しり)
MC ☆ あくしず 2010年 02月号 [雑誌]
見た目すごい感じですが、見てみたら結構楽しかったりして。
1400円はちょっと高いかな〜、なんて思いましたけど読むところが結構あります。女の子の影に隠れがちですが、航自の現状ですとか、大日本帝国の傑作機や第二次世界大戦のヨーロッパ戦線など死角なくおもしろく読ませてくれます。
ホスピタリティ―CS向上をめざす巣鴨信用金庫の挑戦
信用金庫をはじめとしたコミュニティバンクと地方銀行の同質化が議論される中、コミュニティバンクにおける差別化戦略の一つになり得るのではないか。
「『喜ばれることに喜びを』をモットーに、あくまでもお客の視点から考える。」、「お客に喜ばれることを第一に考える、そのために非効率になることも厭わない。その一方で、お客に見えない部分は、効率化を徹底する。」
巣鴨信用金庫を「金融サービス業」と位置づけ、ホスピタリティを理念とした同金庫の取り組みは、他のコミュニティバンクにとっても参考になることが多いのではないか。
コミュニティバンクの強みは、“Face To Face”という信用金庫のキャッチフレーズにもあるように、「顧客接点の多さ」にあり、これをどのように活かしていくかが差別化につながると思う。同金庫の取り組みは、”株式会社銀行“には、真似のできないコミュニティバンクならではの戦略なのではないか。
また、注目すべきは、同金庫が「喜ばれることに喜びを」という視点から活動してきたことが、実は金融業界におけるマーケティングの先駆者になっていたこと。顧客満足(CS)を標榜する金融機関は多いものの、目先の収益や既成概念、保守的な企業文化に縛られ、本当の意味で「顧客ありき」の経営をしているとは言い難い。
ただ、いつも思ってしまうことだが、こうした改革や変革を行うのは、いつも外部の視点を持った経営者(同金庫の田村理事長は、ホテル勤務・レストラン経営の経歴を持つ異業種からの経営者)であり、生え抜きの経営者では無理かなと思ってしまう。