ブラス・シャウト
ドラムとベース以外は全て金管楽器で構成されたテンテットによるファーマー名義の作品です。チューバやフレンチホルンを加えた編成なので、キラキラしたブラスというよりは柔らかいアンサンブルが魅力です。これはいかにもファーマーとゴルソンのチームならではの感じと言えるでしょう。Moaninではセクションで参加しているリー.モーガンにソロを任せていますね。当時如何に彼がセンセーショナルな存在だったかが伺えます。枯葉やモーニンと言った当時話題の曲も録音されていますが、Five Spot After darkやMinor Vampなども収録されており、基本的にはファーマー〜ゴルソンのジャズテットの拡大判と言うことができるでしょう。こういう柔らかいブラスアンサンブルのジャズって最近目にしないので、たまに聴き直すと新鮮です。
クール・ストラッティン
オリジナルは1958年という半世紀前のシロモノ。演奏もいたってシンプルなカルテットまたはクインテット演奏。しかしタイトル曲(1)の最初のピアノのフレーズを聴けば日本のジャズファンは皆足を爪先立てて歩く(笑)といわれるほど日本でのジャズの浸透に貢献した一枚。本国のアメリカではそんなに大した評価はされておらず、日本での人気の高さは奇妙に映るらしい。確かにときどき指がもつれそうになっていたりと、たどたどしい部分もある。
しかし、そんなことはどうでもいい。むしろそういうたどたどしさゆえあえてビバップやハードバップなどと難解になっていくジャズの風潮に汚れずに、昔ながらの素直な娯楽〜歌謡曲的存在としてのジャズをやって、こんなタイトル(カッコつけた歩き方)を付けたりするような奥ゆかしいところに日本人の心を捉えるゆえんがあるのではないかと思う。演歌的という指摘もあながち外れていないかもしれない。それだけゼロからすっと聴いて楽しめるという意味では。
昔も今もジャズの香りと楽しさを教えてもらう入り口的なアルバムとして選ばれ続ける事実が本作の素晴らしさを物語っている。
モダン・アート
ピアノのビル・エバンスが参加しているので有名になっている感もありますが、そんなにエバンス色に染まっている訳でもなく、ファーマーの作品に一貫している暖かい雰囲気の漂うアート・ファーマーの佳作です。個人的には、車の中で良く聴く一枚で、これを聴きながらのドライブだと、適度なスピードと譲り合いの精神で、気持ちよく目的地まで行く事が出来ます。そんな感じのCD.
ジャズ・アイコンズ・シリーズ4 8枚組BOXセット [DVD]
この手のセットものはぼやけた映像と最悪の音質というトホホなことがままあるわけですが、いい意味で期待を裏切ってくれました。音質は最高、ジャズメンはモノクロ画面に躍動しています。
買ってすぐにウッディハーマン、次にアニタ、さらにアートをデジタルスピーカーで拝見(聴)しました。いずれも素晴らしく「これは良い買物をした」と思います。ほとんど1960年代のヨーロッパでのライブ映像です。米国製なのに米国ライブが皆無なのは不思議ですが、自宅がライブハウスになった感じです。大満足!
ライヴ・アット・ザ・ハーフ・ノート
内容の詳細は紹介してありますからそちらをご覧ください。
1・「サヴォイでストンプ」・ジム・ホールのギターで始まる。続いてアート・ファーマーのトランペット・・
軽快に各々がよくスウィングしている。途中長めのギターソロがありそれにベース、ドラムが歯切れのよいサポートを
聴かせる。楽しい曲に仕上がっている。収録時間12:24と本作では一番長いトラック。
2・「スウィング・スプリング」・アップテンポで演奏される。
全員の白熱しているサウンドがいかにもライブ盤らしい。
3・「ホワッツ・ニュー」・アート・ファーマーのしみじみしたフリューゲルホーンで始まりジム・ホールのギターが
優しく寄り添うように絡んでいる。アートらしい優しいフレーズが聴ける。ベース、ドラムが控えめなサポートを
聴かせる。
4・「アイ・ウォント・トゥ・ビー・ハッピー」・メンバー全員のプレーで始まる。ミディアムテンポからアップテンポ
に変わる。ノリの良い曲。速いパッセージの各々のプレイが聴きどころだろう。
5・「アイム・ゲッティン・センチメンタル・オーヴァー・ユー」・ギターで演奏される曲。落ち着いたジム・ホールらしい
音色が聴けて嬉しい。ベース、ドラムのさりげないサポートがいい。アート・ファーマーは参加していない。
貴重なライブ盤、名盤だと思います。