最終弁論―歴史的裁判の勝訴を決めた説得術
『戦場のピアニスト』でアカデミー賞を受賞したロマン・ポランスキー監督の妻だった女優のシャロン・テートが惨殺されたマンソン事件や、ヴェトナム戦争時の民間人虐殺事件など、事件発生当時に日本でも話題となった6件の裁判の、陪審員に対する弁護側あるいは検察側の最終弁論集です。事件の概要は各章のはじめに記され、弁論中にも、陪審員たちに想起させる目的で裁判の過程での弁護側VS検察側の攻防が話されるため、無理なく論旨を追うことができます。“アメリカ史に残る優れた最終弁論”(本書より)と言われるように、アメリカの法律家たちのすばらしい論述構成や論法を味わうことができました。
来年から日本でも裁判員制度がはじまることから、タイムリーな出版であると思います。ただ残念なのは、本書のアメリカでの出版の企画意図が、多分、主に法律を学ぶ学生たちに、教材となるような優れた弁論法を紹介するものであったため(つまり、いかに陪審員たちを説得するか、ということ)、検察側と弁護側双方の最終論説が記載されていないことです。「もし、自分が裁判員になったら・・・」という立場で読むと、双方の論述を知りたいと思いました。そのため、星をひとつ減らしています。
また、昨今日本で頻発する残虐な無差別殺人やレイプ殺人事件などの犯人に対する憤りを禁じえないなかで、訳者もあとがきで取りあげていますが、本書にある弁護人が陪審員たちに語った言葉――「皆さんは事実のみに基づいて判断を下すものと信じております。法律家たちが好きか嫌いか、・・・裁判官が好きか嫌いか、被告人が好きか嫌いかも、重要ではありません。・・・好悪によって判断が左右されてはならない」は、重く響きました。私ははたして、そのような冷静な判断が下せるだろうか? 考えさせられる一冊です。
DVD-BOX「MoRA」【初回完全生産限定】
まぁ、見ての通り、熱心なコレクター向けである。
それもこのDVDの方はかなり高品質のお高いプレーヤーでもって、
それなりに耳の良いひとが聴かないと解んないんじゃないか、と思う。
『大吟醸』を聴いた時にCDとの違いが解らなかった、
それどころかウォークマンにダウンロードした曲の音質がCDよりどれだけ劣ってるのかさえ判断できない私のようなタイプの人間に、そんな繊細な価値は必要ない。だから買わない。
生産限定もレアアイテムとしての煽っているのではなく、「欲しい人だけ買えばいい」という事なんじゃないか。
アナログ版といっしょ。
レコードじゃなきゃ駄目な人がいる。
高音質じゃなきゃ満足できない人がいる。
メモリアルアイテムとかいうのが好きな人がいる。
そういうこと。
「ファンだから買うべきでしょ」、という商品ではなく、
「お好きなら、こういうの、如何ですか?」
その程度の感覚なんじゃないだろうか。
勝訴ストリップ
前作はストレートなロックサウンドを中心にした楽曲で構成されており、
より幅広い層にアプローチできるアルバムであったが、ここに来て、
本来彼女が目指していたであろう独特の世界観が少しずつ垣間見えてくる。
林檎の楽曲の魅力はサウンドのかっこよさももちろんあるが、彼女が織り成す強烈な言葉の数々。
音楽は普段は口下手な彼女が自分を伝える手段であるということが痛いほど伝わってくる。
一風変わった言葉だけに好き嫌いははっきりと分かれるだろうが、
「リスナーに伝わることがある」ということは
その言葉が決して奇をてらっただけのものでなく、
彼女の中で「本物」であったからだと感じる。
勝訴ストリップ(完全初回生産限定アナログ盤) [12 inch Analog]
無罪モラトリアムのときと比べると音の深みが増してます。
発売当時は、あまりよく思えなかった人も居ると思いますが。
今、今聞いてください。
発売から5年あなたの聴いていた勝訴ストリップは、すっかり名盤になっているはずです。
4曲目のギブスからの流れは最高です。
彼女の哲学的な歌詞や、彼女の頭ん中の音が再現されたアルバムといっても過言じゃないでしょう。
21世紀アーティストに置ける名盤として重宝しています。
偏見されがちな彼女ですが、是非聞いてみてください。
ちなみに一番好きな曲は「闇に降る雨」です。
クラシック的なメロディと歌詞に魅了されてしまいました。