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人生は、だましだまし (角川文庫)
在京関西人です。
若い時は、田辺聖子なんてなまぬるいような気がしてました。
50超えてから、関西風の文化が、懐かしく、恋しく思えます。
この本の中の、
運命の神サンは、油断したときに人の寝首をかいてよろこんではる・・
という一節。
そういえば、このあいだから地震や津波や原子力やら、
停電やら節電やらで、騒がしいけど、
こういう話をしてはるのかな。
あれからテレビも新聞も、内閣も与党も、ワイワイ落ち着かんな、
なんて思いながら先を読むと、・・・だから、達観するにかぎる、と続く。
「えらいこと できましてんと 泣きもせず」(詠み人知らず)
「まあ、こんなトコやろ」
「しゃーないしな」
・・・ここまでは、ただ感心して、関西弁には便利な言い回しがおおいな、
えらいもんだと思って読んだ。
ところが、大阪人は自分の悲惨な運命に感心しさえする。
「ほんまにワヤですわ」
「ワヤクチャでんねん・・・」
最後に、えらい名医のセンセイが、手術の終わりころにいつも、
「ま、こんなトコやな」
と言われると書いてあって、仰天した。
(言われた患者は、聞こえてたら気の毒やな。
麻酔かかってたらエエけど・・・)
泣き叫びもせず、怒りもせず、詠嘆するでもなく・・・えらいもんや。
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ジョゼと虎と魚たち 特別版 (初回限定生産2枚組) [DVD]
とってもせつない余韻の残るいい映画でした。淡々とジョゼと恒夫の別れの
シーンがあって、全然泣くところが無く、このまま終わるのかな〜と思った
矢先、元彼女とよりを戻して歩いている途中で、恒夫(妻夫木くん)が、声をだ
してたまらず泣き崩れるところは、ほんと不意をつかれてしまって、私も声を出
して泣いてしまいました。(自分でびっくりです)その後ろで、どうしてあげた
らいんだろう?と困り顔で立っている上野樹里さんの演技もとっても自然で、
私はこの映画の中の人たちが今もどこかの町で生活してるんじゃないかと思うく
らい、それぞれの演技が良かったです。近所の女の子2人も子供ながらいい味だ
してました(^^)もうジョゼと恒夫はこの先会うことはなく、ジョゼはもう恋もせ
ず人とも深く関わらず、恒夫と過ごした楽しい思い出だけをずっと支えに生きて
いくんだろうと思いました。ジョゼはそんな女の子です。それを知っているから
こそ、恒夫はあそこで彼女の前だと言うのにかっこ悪くも泣き崩れてしまった。
でも、ジョゼと生きていくのは、とっても大変で... 本当にどうしようもなく
せつない映画でした。
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感傷旅行(韓国本)
彼女の新しい恋人は○○でした。その○○の部分に時代を感じます。が、今となっては、「女御、更衣、あまたさぶらふ中」にあって桐壺帝がたった一人の更衣を寵愛した、という源氏物語冒頭部の衝撃度に通じるものがある気がします。そういえば本作『感傷旅行』の作者は源氏物語が好きで、現代語訳等関連した著作を出していますよね。
本書は短編集で、8作が収録されています。
表題作に関していえば、彼女はやや太めで決して美人ではありません(そういうイメージでいいですよね?)。まぁ独特な色気のようなものはあるようですが、美人ではないはずです。その彼女も三十路を大きく回り、美人ではない上に加えて容色の衰えを実感する年頃です。
彼女は第一線でバリバリ働いていて、自分を測る物差しは必ずしも見た目の美しさではなくても良い人です。でもこの年代って、体力的にも頭脳的にもやはり衰えが見え始める頃でもあるのです。だから不安を感じずにはいられません。
そんな彼女、有以子の不安感が、全体を通して漂っています。恋人とうまく行っていてもぬぐい去れません。そして……
失恋の痛手を紛らすためだけに、セックスをするような男、ヒロシが、実は一番良く彼女を見ていたりするのですから、難しいものですね。彼女は次は、現代のニートとでも付き合ってみればよいのではないでしょうか。
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言い寄る (講談社文庫)
3部作通して一気読みでした。
手にとったのは、装丁がかわいいなっていう不純な動機で。
しぼしぼした紙もとてもいいし、
硬い表紙じゃなくてなじみがいい感じもとても好き。
昔のハンカチなんですってね。かわいい。
恋愛小説ってあまり好きじゃないけど、
もうこのヒロインには感情移入しまくりです。
こんなふうに生きたいです。
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『少女の友』愛唱歌集
戦前の女学生生活の中で歌われたような歌がつまっています。
うっとりするような歌が、尖っていない女性の歌唱で入っています。
カチューシャの唄も入っているし、野ばらも入っている。
清らかで麗しい少女の夢と憧れのつまった世界です。
このようなCDが発売されることが嬉しいです。