サーフサイドハイスクール 3 (レアミクス コミックス)
ついに3巻が発売されてました。
刊行予定日を過ぎていたので、「まさか、書き下ろしが書けなくてとかか・・・」と不安一杯でしたが、無事刊行されて本当に良かった。
今、知名度が高いとは言えないかもしれない本作が刊行される、それだけで十分価値があることですが、当時読んでた人にとっては一応のかもしれないけど、エンディングを迎えた、ということの価値は計り知れないと思います。
件の書下ろし話に差しかかった時、まず思ったのは「絵柄が変わってしまったか」と言うこと。
時間が経ったのだから当然だと思うし、その絵柄がいいとも悪いともいえないという印象の絵でした。
でも読み進める内に、最初に感じた違和感は解消されました。
テイストは相変わらずの味わい。
映画知識が豊富なスノッブな感じ、そこは全くといっていいほど損なわれていません。
話自体も肩肘はったものでなく、いい意味であのころの連載の続きのままという感じでした。
まだ未読の方は、連載当時の読者が憶えた10数年のモヤモヤを味わうことなく、切れ味鋭いギャグが楽しめるので幸せだと思います。
当時の読者には、今こそスッキリしていただけると思うので、是非読んで欲しいと思います。
サーフサイドハイスクール 1 (レアミクス コミックス)
全巻読んだ上でのレビューです。
雑誌掲載時以来の久しぶりの再読となります。
この作品、こんなに面白かったんですねぇ。
最近、何観ても笑えなかったのですが、久方に抱腹絶倒いたしました。
何もかもが脱臭されて、無意味をひたすらパッケージし続ける現代にこそ、
こういう作品がもっともっと登場して欲しいと思います。
臭くって猥雑で、でも繊細な思春期の揺れる男心を作者は描きまくっております。
ジョボビッチもロドリゲスも女優の名前
「映画評論」というほど大仰ではない。少年時代から浴びるように映画を見つづけてきたという著者の、TV桟敷目線での感想文集。漫画のネームづくりで培われたのか天性のものか、平易な言葉でテンポよく面白く読ませる腕はかなりのもの。しかし、その読みやすい文章で綴られる内容は、著者の漫画に似て一筋縄ではいかない着眼とクセモノな考察ばかりだ。
中でも、すでに語り尽くされている感のある「キャリー」を、プロムという慣習をキーに一見健全で幸福そうに見えるアメリカの若者たちの「青春残酷物語」として読み解いた一章は白眉。ミッキー・ロークやシャロン・ストーンの内面に思いを馳せた一文は、そりゃ穿ちすぎでは?とツッコみながらも妙に説得されてしまうし、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの〈独白〉には大笑い。「ゴールド・パピヨン」の章では「タウニー・キテインって、RATTのビデオ・クリップに出たあと、WHITESNAKEのデビカバのガールフレンドに‘出世’してたよなあ」などというどーでもいいジャンクな記憶まで蘇ってしまって懐かしいやら情けないやら。
FBBを楽しんで読める30代後半~40代の映画好きには、間違いなくおすすめの一冊。