続・図々しい奴 [DVD]
正続の続とあるが、むしろ前編後編の後編で前作とあわせて一巻をなす。
前作は谷啓が作家性を引っ込めて役者に徹していたが、今作では谷啓考案のギャグだと思われる箇所が随所に顔を出し
監督は谷啓の気なようにのびのびと演じさせている様子が伺えて楽しい。
時代背景は二次大戦から戦後・朝鮮戦争の特需へと移り変わるが、戦後以降が急に行き来としてくるのは
いかがわしい主人公と時代のいかがわしさがぴったりマッチしているからだろう。
「虎屋の令嬢変じて今ではパン助では活動写真並だ」映画の自虐ギャグが笑えます。
満州馬賊の三田村役が、何の事情か、西村晃から、多々良純に変わっているのが惜しい。
西村晃の方がずっとインチキ臭くて適役なのである。
我が家の問題
私は、奥田英朗の新作、「無理」、「純平、考え直せ」を読んできて、「最近の奥田英朗は、一体、どうしちゃったんだろう?」、「作品が面白おかしさえすれば、それで良いのだろうか?」と思っていた。これらは、いずれも、格差社会の負け組を主人公にした後味の悪い作品となっており、私には、未来への希望が全く見えない格差社会の負け組の人生を書きっ放しにしているだけのようにしか見えなかったのだ。それと比べると、この「我が家の問題」は、久し振りに、暖かい眼差しで人を描いた奥田作品に出会ったという感じがする。
ここで描かれている6つの「我が家の問題」は、必ずしも、どこの家庭にもあるような「ささやかだけれども悩ましい」問題ばかりではなく、かなり深刻な問題も含まれている。しかし、どの主人公たちも、最後には、そうした問題を前向きな気持ちで乗り越えていこうとする善男善女ばかりであり、非常に読後感が良いのが特徴だ。ただ、その反面、「無理」、「純平、考え直せ」にあるような毒が全くないこうした奥田作品には、今一つ、インパクトに欠ける面があることも否めない。「あちら立てれば、こちらが立たず」で、作品作りとは、なかなか難しいものだと思う。
そんな中にあって、この短編集一番の傑作だと思ったのが、「夫とUFO」だった。「夫がUFOを見たと言い出した」、「エムエム星雲からやって来たコピー星人」などと書かれると、読んでいて、バカバカしく思えてくるのだが、これが実は、職場でこき使われるサラリーマンの悲哀を描いたなかなかの物語なのだ。そんな夫を救出しようと、多摩川の堤防で夫と対峙するラストは、滑稽ながらもハートウォーミングな絵になるシーンであり、笑えて、泣けるのだ。
破軍の星 (集英社文庫)
ぎりぎりまでムダをはぶいた文章が、緊迫感をともなって物語を紡いでいく。
誰一人としておろそかに書かれている者がいない。紙面に登場した人物のすべてに、それぞれの想い、それぞれの覚悟がある。
その中心に生きる顕家の聡明さ、潔癖さ、葛藤、ふいに見せる少年らしさや笑顔が焼き付いて、最後の文章を読み終えたとき、涙があふれて止まらなかった。
眠狂四郎勝負 [DVD]
「豚姫が、雪よりきれいな俺の身体に
触れようなどと、無礼千万!」←ツボ(笑)
いやいや、これは面白かった!
眠狂四郎のナルな台詞がたまらない!!
ナルでも美男子で美しいから様になる。
カッコいいだけじゃなく話も面白かった!
脇の登場人物も粒ぞろい。特に飄々とした
朝日奈のおじいちゃんが良かったわ♪
狂四郎のお風呂での戦いもフフフだし、
女性3人も、みな個性的でいいなと思った。
階段で尻を押したりする、当時の
アルバイトを垣間見れたのも新鮮だった。
面白かったので映画館で2回見ました。
雷蔵さんていいな♪ ウフフ・・♪(笑)
放蕩記
2011年に読んだ本の中で、ダントツのベスト1でした。
あまりにも共感しすぎて気持ち悪くなるほどで、途中で何度も読むのをやめて深呼吸しなくてはならなかった。
男だって、母親との関係を引きずることはある。母と娘だけじゃない、母と息子だって大変なのだ。
最後の数ページは本当に泣ける。主人公がたどりつくかすかな光のさす場所に、いつか自分もたどりつけたらいいと思った。