With you (幻冬舎文庫)
12人の女流作家による、「女性のための」官能小説。主人公がみんな女性だから、「女性のための」なんだろうけれど、内容はとっても過激で、読んでいて目が「・」でした。
こういった小説に、ストーリー性とか、心に染みる展開とかは求めちゃいけないのでしょうね。まあ、12人もの作家の作品が一度に読めて、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような楽しさは味わえます。
私としては、やっぱりSEXは恋愛における一部分であって、すべてでなくてもいい、と思うのでちょっと濃すぎる感は否めませんでしたが、とってもエッチな気分になりたい方には、おすすめです。
抱擁 (光文社文庫)
この本を読み出したきっかけは参考図書になっている『心臓の暗号』を読んだからです。この本は心臓移植に関して起きた、記憶の移動に関して語った本です。
その事を念頭に置いて読み始めた『抱擁』ですが、まずは文章の生々しさにひかれました。これは決してグロテスクという意味ではありません。リアルということです。そうして読んでいきますと次にきたのは繊細さでした。これは主人公の心が変わっていく様を、外からも内からも描いています。そして話の中に表示される様々な謎は最後になって一気にまとまるのですが、ミステリーとして読むとやや謎は弱いですが、ストーリーとしてはおもしろかったです。
海の深さを知らない者は
母親を殺したのはわたし? 拉致されてる?
琶子から恋人への一通のメールから事件がはじまる。
自分自身の記憶もあやふやで、口も聞けなくなってしまい、別の犯罪に荷担していく琶子。
若くてエキセントリックで激しい性格の彼女は「海の深さを知らず浅瀬でばちゃばちゃと自惚れている者」と言われるが、そこからまっすぐにいろんなものを感じて成長するというわけではない。
人間はそんなふうには出来てないし、彼女自身のバックグラウンドもそんなにシンプルではない。
ひとつのものを受け入れるために苦しむ。過去のトラウマと向き合う。そうして突き破る。
作者自身が足も届かない深い海の底へ向かっていくのを感じながらも、それよりももっと深い「生」の深さ、そこに繋がる「生の反対の世界の深さ」に放り出されるような感覚のラスト。
クライムノベルとしてのストーリーのおもしろさと同時に、とんでもない「海の深さ」をつきつけられるような作品。
紅迷宮 (祥伝社文庫)
この本を読んだのは、2回目だが、結構知らない作家の作品も多く、それぞれの個性があって、楽しむ事が出来た。今後も読みたい作家は特にいなかったが、また機会があったらミステリー以外の作品などを読むのも面白そうだ。
ええかっこしい 評伝 石津謙介
石津謙介という人間のすべてがわかった。VANジャケットにあこがれていた人間にとっては一読に値する。おしゃれの基本、考え方、非常に参考になりました。人生四毛作もなかなかいいね!