Still Life
ピーター・ゲイブリエルと並んで、ピーター・ハミルのヴォーカルは、本当に重く深い。まるで、こころの奥底にまで到達する、鋭い毒矢のようだ。時に聖母マリアの如くエレガントで、時に野趣に富む・・・まるで万華鏡のような歌声ですらある。
当時ガブリエルの在籍していたジェネシスの、「サパーズ・レディ」(アルバム「フォックストロット」収録の長大な組曲)と本作の1曲目「ピルグリム」は大好きな楽曲で、いまだに聴いていると時の経つのを忘れてしまうほどの名曲だ。
バンドの演奏も、ハミルの繊細なヴォーカルを最大限に生かすべく、ストイックに抑制しつつ、聴かせどころはドラマチックで・・・感動して泣きたくなる名盤である。
シスタージェネレーター 沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)
沙村広明の短編集。
全7編を収録。
なんとも濃密な沙村ワールドです。
一つ一つがこってりとした内容で、ギャグもあれば少々シリアスであったりと様々なラインナップ。
例えば、親と子の歪んだ関係とその意外な秘密を描く「久誓院家最大のショウ』はギャグも混じえているが童話的な怖さがあり、作者らしい作品。また、『エメラルド』は弱者が強者に勝てるたったひとつの方法を西部劇風のストーリーに絡め、知恵ある者は力より勝るということを教えてくれる秀逸な一編。
で、私が特にいいなと思ったのが『制服は脱げない』。
これは女子高生が世間のいろいろな「これって変だよね?」的な疑問や、もうどーでもいいような話題をだらだらとくっちゃべってるだけの話なんだが、これが地味に面白い(笑)。ちなみにこの作品はクイック・ジャパンに連載されてたもので全部で8話あります。
沙村広明の絵柄での女子高生の不毛なやりとりは笑える。
爆笑というわけじゃないけど、このグダグダ感がすごくハマってしまう。
短編集『おひっこし』や連載中の『ハルシオン・ランチ』などが好きならオススメ!そうじゃない人にもぜひどうぞ。