ユニクロ症候群
1998年頃までは、ユニクロのTシャツに掘り出し物が多く、
結構好んで買っていたのだが、
それ以降、急速にデザインと色が「ダサ」くなり、
ユニクロの店に足を運ぶことはあっても、
商品を買うことは殆ど無くなってしまった。
そんなユニクロが、私個人の好みとは相反する形で、
何故、急速な成長と持続的な繁栄を成し遂げ、そして維持しているのか、
疑問解消の一助となるかと思い、本書を買ったが、
期待には応えてくれなかった。
ファッション業界全体や、
そのプレーヤーであるユニクロ、ならびに競合たる同業他社の状況の、
過去、現在の分析は、
データに基づいた明晰かつ論理的なものであり、見事だが、
それ以外でダメな点が目に付く。
「ユニクロが老若男女に支持」された主因として、
「顧客やテイストにとらわれない汎用性」や
「顧客目線の高品質」と、3章で言っておきながら、
一方で、ユニクロを含む、ファストファッションの隆盛を、
「品質や風合いに難があっても」それを受け入れる
「デジタル時代(アンダー37歳)の感性圧縮」と7章で言っているところに、
論理構成の破綻を見た。
サブタイトルに「退化する消費文明」とあるが、
その分析に関しては、正直お粗末である。
車に乗らなくなり、ケータイで物を買い、
ダウンロードした音楽で良しとする若者を、
データを引いて嘆いているが、
その筆者が描いた「今時の若者」像が、
余りにステレオタイプで画一的すぎる。
個人的な経験に照らし合わせても、ちょっと違うなと思うところが多々。
グローバルで劣勢な他業界の例として、
家電や自動車を引いているが、それらの業界の状況を
「品質でサムスンに劣る日本の家電メーカー」といった表現で済ましてしまうなど、
アパレル業界以外の分析は、浅くお粗末である。
サブタイトルに惹かれて購入した方には、
期待を裏切ること必定であるが、その部分は、
本書の1割未満で程度であり、それ以外の残り9割は、勉強になった。
散々こき下ろしてしまったので、フォローを加える。
ファストファッションと一言でいっても、
各社ごとにビジネスモデルが大きく異なるという点は、初めて知った。
ユニクロのビジネスモデルが、
従来のファッション業界で常識とされていたビジネスモデルと、
いかに違うのかも、よく分かった。
という訳で、
ユニクロの服を「ライフスタイルの部品である」と捉えれば、
その利用範囲が広がるのと同様で、
本書を、ファッション業界やユニクロを、
俯瞰するための「データ+考察集」として捉えれば、
評価は高くできる。
ただ、本のタイトルであったり、出版社の筆に依るであろう「内容紹介」を、
本書の全体的な構成、内容、論理構成と照らし合わせると、
羊頭狗肉の感が否めない。
ユニクロの服は、
ちょっとした色使いや、細部のデザインの詰めの甘さが、
トータルコーディネートを破綻に至らしめるが、
この本もそれに似ている。
総合評価では、★3つが妥当と判断した。
ファストファッション戦争
ファストファッションをいう衣服のカテゴリーが理解できる本。
ユニクロ単体の本はいくつか読んだが、
同業者(?)である各社(しまむら、ZARA)を横に並べて
その特長を論じているので、ファストファッションは何か?
さらっと理解しやすい。
堕落する高級ブランド
私が中学生の頃、上級生に青山に住み、パンクチックな洋服を着て
ヴィトンの財布をさりげなく持っていた女性がいた。今から30年くらい前の話。
私の通っていた学校はいわゆるお嬢様やお坊っちゃまが通っていた学校ではなかったが
中学、高校共に私服の私立の学校だった。その当時はかなり異色の学校。
そんな中で思春期を迎えてしまうと、ブランドの今ある価値観からはほど遠い世界
で育ち、本当のクラスの人間が持つブランド品というイメージをいまだに払拭できず
に自分はいる。
高級ブランドはありとあらゆる人間の夢を形にしたようなもの。
逆にすぐ届いてしまうと飽きてしまう子供のおもちゃのよう。
エルメスやシャネルのように確固たる信念と職人のプライドを持ったブランド魂に
他のブランドもそうあって欲しいと思うのは、昔のブランドの懐古主義なのでしょうか?
色々の考えさせられる本でした。男女問わずお勧めです。昔の自分を懐かしく思い
ながら、これから自分のスタイルの思いを馳せつつ。。。。