星降り山荘の殺人 (講談社文庫)
騙しの結果だけ見れば今となっては良くある手ですが、そこに至る
プロセス、ミスリードの方法は、斬新なのではないでしょうか。
汚い手を使われたように錯覚しますが、実は見事なフェアプレイです。
本格慣れしている人ほど「なるほど」と納得すること請け合いです。
能天気な主人公と濃いキャラクターたちが織り成す、リズムのいい
ストーリーもいい感じです。読み易さも特筆すべきものがあります。
まほろ市の殺人 (ノン・ノベル)
まほろ市という共有の舞台の春夏秋冬それぞれに起こった事件を4人の作家が担当。
春が倉知淳、夏が我孫子武丸、秋が麻耶雄嵩、冬が有栖川有栖
…という豪華な執筆陣。
これで季節間に連関があって思いも寄らぬ展開になったりすればこういう作品はもっと輝くと思うのですが残念ながらそれは無し。
そしてこの4作品の中では麻耶雄嵩氏の秋パート「闇雲A子と憂鬱刑事」がずば抜けていると感じました。
一癖もふた癖もある登場人物を動かしながら、この分量の中で大量殺人のミッシングリング、意外な犯人とその結末を織り込む技量には感服しました。
(アクの強い文体なので、麻耶氏の作品が初めてだと何だこりゃと思うかもしれません)
次点は春。
軽いノリで読み進めることができました。
夏。
うーん…氏に求めているものはこんなものではありません。結末が見えやすかったのも少し残念。
そして冬は…厳冬でした。
日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)
色々な推理小説の中で、私はこれが特にお気に入りです。
ただ「事件が起きる」だけでなく、それぞれのストーリーがすごく深いんです。
どの話しにも「猫丸」という主人公が現れますが、この性格がまた個性的で良い(笑)
個人的なんですが、私はこの中で「約束」の話が好きなんです。わりと涙もろい人はかならずほろりときます。
是非読んでみてください !