Where the Groupies Killed
非常にテクニカルで格調高い(雑多で趣味っぽいだけか?)、ハードロックバンドであるが、おそらく一般のハードロックファンには、ついて行きにくいサウンドだと思う。特にキーボード全般と、管弦楽器のアレンジまでこなす、ペーター・ヘクトの大仰な逸脱プレイはこのバンドの要である。後半は特に難解な構成(ジャズ、変拍子はもちろん、現代音楽やチェンバーへの接近も)になっており、ハードロックを楽しみたいというよりも、異常な音楽への薀蓄を垂れたい、プログレ・ファンの方におすすめします。
ミーン・マシーン
発表は1981年。ドイツ屈指の実力派バンドの、後期代表作です。幅広い音楽性のバンドだが、ここではプログレもポップも封印して、何のてらいもない王道HM/HRをプレイしています。ブリティッシュハードのわかりやすいカッコ良さだけを抽出したような会心の出来。
キーボードを効果的に配した、絶妙なアンサンブルを聴かせます。Uriah Heepから出戻った、名ボーカリストと名高いジョン・ロートンの歌は、言うまでもなく最高。方向性はあくまで楽曲重視で、キャッチーでコンパクトな曲が並びます。
冒頭と締めくくりの1.One Way Street to Heartbreakと10.Bye Bye Sadieはロックン・ロール。1は力強い。10は爽快で気持いい曲だが、欧州のバンドらしい叙情性も感じさせます。2.Hey Driverはドライヴ感抜群。3.Fire and Rainはミディアムテンポの堂々たるハードロック。
4.Mean Machineはギターの見せ場となる短いインスト。ハードなリフで引っ張る次曲の5.Cool Hand Killerとは繋がりを感じさせる、組曲風の構成になっています。アナログでいうB面部分も失速するどころか、硬質でドラマティックな曲が続き、ますますエネルギッシュに熱を帯びていくのが素晴らしい。
同郷のスーパースターSCORPIONSが洗練した音を確立したのがBlack Out/82年だから、このバンドがいかに先進的だったかよくわかります。こんな名盤を最後に一旦解散に追い込まれるなんて、本当にやり切れない思いがする。