サテュリコン―古代ローマの諷刺小説 (岩波文庫)
著者は「クォ・ヴァディス」に古代の美意識の体現者として登場するペトロニウス。
「クォ・ヴァディス」作中では優雅・高貴・洗練・有能といった近代的な貴族意識の権化として描写されていましたが、この本を読むと、本当のペトロニウスはちょっと違うぞ。
なんていうか、もっとぶっちゃけた感じで。
これがアルカイックな、古代の美意識ってやつ?
人と人の殺し合いを娯楽として楽しみ、さらにそこに人間性や美意識を感じていた時代ですから、「高雅」の基準も今とは違う。エロあり、グロあり。
諷刺小説だから、当時の風俗が誇張されて書かれているはずで。
どこがどこ程度誇張されているのがわからないのが読み手としては辛いところですが。
この本のネタになるような事柄は、あったはず。
かの「トリマルキオンの饗宴」についても。
ほぼ同時代人の小プリニウスの書簡集と合わせて読むと、「トリマルキオンの饗宴」を催した解放奴隷のモデルになったのは誰かを類推する、なんて楽しみ方もできます。
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「創造」という仕事の偉大さ、映像の魔術を楽しむなら、まず第一にこの映画を挙げたい。フェリーニ・ワールド全開といっても良いかもしれない。
悪友に「男」を取られて一人寂しく旅を始める青年の物語。原作はネロ皇帝時代のペトニウスの古典的作品だ。断片しか残されていないが、昔岩波文庫に翻訳が入っていた。
とにかく、気色悪いほどの豪華絢爛たる古代ローマ絵巻に、圧倒されない人はいないのではないかと思う。古代ローマの酒池肉林など誰も見たことはないわけだから、それをこのような形で映像にしてしまうことだけで十分驚きだ。
フェリーニという映像作家の実力が遺憾なく発揮されている作品。
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イマイチではないのでしょうか。
お気に入りの「サテュリコン」が映像化されているらしいと最近知り購入したのですが、うーん…。
原作があるものが映像化されると往々にして何かしら不満が出てくるものですが、これは特にがっかりが多かったです。
※特にギトン(映画ではジトーネ)がアスキュルトス(アシルト)についていったっきりエンコルピウス(エンコルピオ)の元に戻らなかったところが残念。
これはもう「サテリコン」という新たな一つの作品だと思ってみたほうがいいですね。 そう見ると映像と音楽はなかなか目を楽しませてくれます。特に秀逸なのは神の子!人間とは思えない美しさと不気味さを兼ね備えた子です。この子を見る為に買ったんだと思うなら惜しくはありません。
しかし総合評価としては☆3です。
ザ・エイジ・オヴ・ネロ~ツアー・エディション
コンピレーションCDに収録されてた“Fuel For Hatred”でSATYRICONを初体験、その邪悪にしてキャッチーなブラックメタルに心奪われ、前作『NOW,DIABOLICAL』や雑誌のインタビューを見聞し益々フェイバリットバンドとなりました。2年ぶりとなる今作は暴君ネロを題したコンセプトアルバムですが前作同様のSATYRICON流メタルが一貫しており肩肘張らず気軽に(?)聴ける内容となってます。EMPEROR亡き今となってはSATYRICONは貴重な存在death。
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サテリコン[SATYRICON]は1969年の作品ですから、1920年01月20日生まれのフェデリコ・フェリーニが49歳の作品であり大作なんですね。原案・脚本も勿論のこと、フェデリコ・フェリーニ(+ベルナルディーノ・ザッポーニ)が担当していて、油の乗った49歳の巨匠の頭の中はきっと豪華絢爛なカオスそのものだったんでしょうね。カニバリズム有り、同性愛有り、色情狂有り、ソドミー有り(※注…男色や獣姦など、自然に反した性愛。旧約聖書に記された、悪徳の都市ソドムにちなむ称。)、酒池肉林有り、何でもござれの退廃的imageがエンコルピオが出会う数々の数奇な運命として約130分間にFilmに凝縮されており、見応えは充分有りなのですが、取り上げているのが『人間の退廃』そのものなので、単なる巨匠の大作としてご覧になられた方の中には、美味しい料理を食べに行ったら巨大な魚の顔とニラメッコするハメになった感覚で拒否反応をされる方もいらっしゃると思います。しかし、大技ながらも繊細な血管も映画の中には流れておりまして、なかなかドウシテ私などはサイケな気分でこの1本をお薦めしたい気分になったり致します。『財産相続を願うものは、我が屍肉を食え』の遺言はまるで、人間の悲しさや滑稽さを笑い飛ばす絶妙なpasswordのように見え、フェデリコ・フェリーニが云った「映画づくりというのは不気味でグロテスクな仕事だ」という意味が沢山この映画には含まれているんじゃなかろか?とも思った次第です。29インチ以上の大きな画面、2台のスピーカー以上+大音量でご覧になる事も併せてお薦めする次第です。