バッハ:イタリア協奏曲、他
2曲目「イエスよ,わたしは主の名を呼ぶBWV639(ブゾーニ編)」を聴けるだけでも、とても価値がある。
もともとオルガン曲でそれでもめったに演奏されないが、ピアノ編曲になるともう砂場の一粒程度。W・ケンプがたしか弾いていたが、録音がひどく、演奏もよくない。
このブレンデルの演奏はみずみずしいテンポの「イタリア協奏曲」の次だからか、とても、しっとりとした聖香が感じられ、名曲のほどがよく伝わる。
バッハ=ケンプ ピアノのための10の編曲
既刊の「ピアノのための10の作品」(106000)を、原出版社、Bote&Bock社の最新版に準じ楽譜内容を改訂(収録曲目は変更なし)したそうです(全音社Webサイトより)。
編曲はすべてケンプによるものです。
[ 曲目 ]
神よ、あなたに感謝をささげます BWV.29
Sinfonia aus der Ratswahlkantate
ハープシコード協奏曲 第5番 ヘ短調 BWV.1056 第2楽章「ラルゴ(アリオーソ)」
Largo (Concert a cembalo concertato 5 f-moll)
シチリアーノ(フルートソナタ第2番)BWV.1031
Siciliano aus der 2 Flotensonate
来たれ、異教徒の救い主よ BWV.659a
Nun komm, der Hiden Heiland
目覚めよと呼ぶ声が聞こえ(「カンタータ140番」からコラール) BWV.645
Wachet auf, ruft uns die Stimme
主よ、人の望みの喜びよ BWV.147
Jesu, Joy of Man's Desiring Chorale from Cantata
あなたの道をお選びなさい(わが心からの望み)BWV.727
Befiehl du deine Wege (Herzlich tut mich verlangen)
イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ BWV.639
Ich ruf' zu Dir, Herr Jesus Christ
"たしかにその時機だ(いざともに喜べ、愛する信者たちよ)BWV.307,734"
Es ist gewisslich an der Zeit (Nun freut euch, lieben Christen g'mein)
こころよき喜びの声にて BWV.751
In dulci Jubilo
YP18 バッハ インヴェンションとシンフォニア ブゾーニ版
スタンダードでは無いかもしれません。
しかし、現代のピアノには向いているのでは無いでしょうか。
チェンバロで弾くならば寂し過ぎるであろう
控えめのトリルは、ピアノにはとても美しい。
全体に曖昧さのない決然とした解釈が好感持てます。
個別には、有名な2声1番が完璧の印象。
2声10番のオールスタッカートが意外だがとても良い。
Transcriptions 2
他の曲も素晴らしいですが、やはりシャコンヌが文句なしにいい。
例えば、キーシンのように明るく澄んだ爽快感で疾走していくハイテンポの演奏もいいですが、このテンポを抑えて、じっくりと間を味わいながら進む演奏も素晴らしい。
是非、いろいろなことに思いを馳せながら、音楽に浸ってみてください。
ブゾーニ: ピアノのためのトランスクリプションとパラフレーズ集
ベーゼンドルファーインペリアル使用、ということは
つまり例のシャコンヌのラストがオクターブ上がらないわけですね。
それだけでなく、Fantasia Contrapuntisticaへと発展する元となった大フーガや、
リストのメフィストワルツのブゾーニ版、
同じくリストのオルガン曲、アド・ノス・アド・サルタレム・ウンダムのピアノ編曲版、
ショパンによるバリエーションやカルメンファンタジー(ソナチネ6番)など、
編曲家としてのブゾーニの偉業を十二分に伝える内容です。
演奏もしっかりとした堅実な演奏で、
シャコンヌだけしかしらないけど安いからまあいいか……と買って、
他の曲も好きになれる、とても良心的なボックスです。