いつも春のよう 増補版 (ビームコミックス文庫)
再評価が嬉しすぎる、そのきっかけを
作ったひとつの本書は、漫画に無限の
可能性がある、と信じている、
若い人たちに、もっともっと読まれて
ほしい!!
漫画は、どっかの都知事がゆってるような、
外貨かせぐのに効率のいい道具じゃあない。
コンテンツ、なんていやらしい呼び方は
やめてくれ!!
あすなひろしさんの魂に、失礼ですよ、
もうほんとに。
あすなさんほど、言葉少な(セリフが少ないという意味でなく、表現として)
な作家って、まあいない。
説明過剰なフィクションになれた人には、
何の変哲もない、ありきたりな出来事を
連ねただけの漫画と誤解される。
もったいない!!
ぼくにはあすなさんが、つげ義春さんがお描きに
なる私小説風の作品のさらに奥を覗いて、
絶望しながらカラカラ笑っていらっしゃったように、
思えるのです。
とにかくあすなさんは、登場人物への
愛着がハンパではないです。
泣ける、なんんて言っちゃうのが
もったいないくらいの素晴らしい作品です!!
青い空を、白い雲がかけてった 完全版 上 (ビームコミックス文庫)
前に同社で復刻された時に、完全収録されていれば…と思いました。
ほとんどスクリーントーンを使わず、アミ線や点描で表現する作家なので
文庫サイズでは絵がもったいない…と思ったので-☆1。
ただ、爆発的に売れるとは思えない『あすなひろし』のマンガを復刻した
エンターブレインの英断に感謝です。ありがとう。
林檎も匂わない (ビームコミックス文庫)
もう30年以上昔の作品群達。
いまとなっては、時代の空気と一緒に心中してしまった作品もありますが、
その技法と構成力、ストーリー展開の上手さに、読後しばらく痺れてしまいました。
私は「青い空を白い雲がかけてった」しか知らなかったのですが、
あすな ひろし という作家が遺した足跡の大きさを再認識しています。
別に昔のほうが良かった。などとは全く思いませんが、いまでは青年誌というより
文芸誌に載りそうな作品が平気で少年誌で掲載されていた。という事実を知ると、
確実に我々の精神年齢は下がってきているのかもしれないな・・・
そんなことを思ってしまった読後の午前2時。
別のレビュアーさんが書かれていますが、文庫版ではなく、大きな版で読みたくなる一冊です。