つめたいよるに (新潮文庫)
江國香織さんの作品の中で一番好きな作品です。
「デューク」も「ねぎを刻む」も大好きだけど、私が特に心を打たれたのは「夏の少し前」。
「私、ずっとながいこと、こんな風景にあこがれたていたような気がします」
主人公の台詞であるこのたった一文にどれだけ胸を打たれたことか。当たり前の風景、当たり前の生活に感謝しようと思いました。
tokyo tower o.s.t
『東京タワー』は、小説・映画・サントラ…と、それぞれが単体で存在する価値を持っていると思います。
このCDはサントラという感じではなく、溝口さんの音楽感そのものを楽しめますね!
ほとんどがチェロ&ピアノ主体のシンプルな曲で、美しい音をただリラクゼーションの為に聴くのも良し、その奥にある音楽の深みを味わうのも良し、もちろん小説を読む時のBGMとしてもオススメです。
抱擁、あるいはライスには塩を
絶対に映画化しないでほしい。
この小説が描いている世界観は文章だからこそ読む人の想像力をかき立てるのだし、どの章を外しても成り立たない密度だと思う。
全部読んできた江國香織作品の中でも本当に素晴らしい作品だと感じたし、吸い寄せられるように再読してしまった物語。
落下する夕方(韓国本)
登場人物もストーリーも生活感がありません。説明不可能な色彩で彩られています。
それでも、とても説得力のある・現実感のある話です。それは私自身が別れを経験し、ひとりですべての季節を過ごしながら、1年間をかけて「愛情のソトバコ」だけしか残っていないことを受け入れていった時間を思い出すからなのです。
ソトバコだけの愛情はもう中味がないけれど、でもまったくのからっぽでもない・・・。そのことををゆっくりゆっくりわかっていった季節には、今でも懐かしさと近しさを感じます。そういう感覚にぴったりとくる本です。だからこの世界はなるべく個人的感傷を投入しながら味わってみることをオススメします。