「尖閣」列島―釣魚諸島の史的解明
1972年に本論文が発表された翌月に「人民日報」に全文が転載された。
在日中国大使および中国政府報道官は、記者会見で井上清との本論文を具体的に取り上げ、記者に読むよう勧めている。
そうした中国の対応から推測すると、本書は尖閣諸島問題に対する中国の主張に理論武装を提供した本だと思われる。
なぜ、中国がかくも対日不信なのかが、本書を介してかなりの程度理解できる。
明治から現在に至るまでの日本の政治を、卑劣な「帝国主義」「軍国主義」「侵略国家」と罵倒誹謗してやまない著者の思想にはついていけないが、尖閣問題を理解する上では、欠かせない本であろう。
本論文には、奥原敏雄氏が「尖閣問題と井上論文」とのタイトルで反論しているので併せて読むことをお勧めする(ウェッブで検索可能)。また、雑誌「世界」2012年12月号の一橋大学教授羽根次郎氏「尖閣問題に内在する法的矛盾」も冷静に法的問題を指摘しており、見逃せない。
尖閣諸島―冊封琉球使録を読む
尖閣諸島の歴史は琉球などを含めて本当に複雑な歴史的背景がある。
琉球が中国の属国という定義で中国はそもそも論で主張をしているが、果たして歴史的に考察するどうなのかということを理解ができる。
ぜひ、読んで欲しい。
尖閣諸島・琉球・中国―日中国際関係史 分析・資料・文献
日中両方の尖閣諸島にまつわる膨大な資料をよく纏めている上級者向けの本である。この本をより深く理解するには、日本で出版されている他の尖閣関係の本を数冊読むことを薦める。また、同書は全ての文献資料の全文を掲載している訳ではない。むしろ尖閣諸島の"辞典"として役に立つ本である。