裏窓―アイリッシュ短編集 (3) (創元推理文庫 (120-5))
収録作は以下の通り。「裏窓」、「死体をかつぐ若者」、「踊り子探偵」、「殺しの翌朝」、「いつかきた道」、「じっと見ている目」、「帽子」、「だれかが電話をかけている」、「ただならぬ部屋」。
「ただならぬ部屋」は過去の因縁が絡むホテルの部屋での事件を扱ったもので、アイリッシュにしてはハデなトリックが見もの。「だれかが電話をかけている」は気の利いたショート・ショート。「裏窓」はヒッチコックの映画であまりにも有名になり過ぎてしまったが、本作を読むとヒッチコックが原作にほぼ忠実に映像化していることが分かる。ただし、映像的構図や洒落た会話はヒッチコック独自のものだ。結末のシーンが本作と映画では異なるので、"どっちを先に読む(観る)"か悩むところだが、やはり原作から先に読むべきであろう。
そして、本短編集のハイライトは「じっと見ている目」である。主人公は口・手足が不自由な老婦人。この婦人が自分の屋敷で金目当ての一団に軟禁状態にされてしまうのだ。だが、婦人は自身の意思を周囲に伝える手段を持たない。そこで、周囲からは普通に暮らしていると思われる。婦人の焦燥感と絶望感が読者の胸に伝わる。そこへ、一人の青年が現れる。青年は状況を察知し、婦人に質問をし、答えを婦人の瞬きの有無で判断するのだ。このアイコンタクトが心の繋がりにもなる。前半の焦燥感・絶望感から一転して瞬きを通じた心の温もりを描く作者の手腕は見事。
本短編集シリーズでも、本作は秀作揃いのお勧めの一作。
裏窓【字幕版】 [VHS]
クリストファー・リーブが
この役をするのが凄いと思う。
彼は本当に、役者という仕事が
好きだったんだと感じた。
「きっと歩けるよ」というセリフも、
本当にそうなって欲しいと思った。
メール事件。あの彫刻家の逆襲が
早すぎると思ったのは私だけ・・?
物語は普通だけど、パソコンを駆使したり、
ハイテクな家。その暮しぶりも面白かった。
「ある日どこかで」が大好きなので、
彼には長生きして欲しかったです・・。
裏窓 [DVD]
窓から見える隣人たちの暮らしの中に
秘められたサスペンスを「覗き見」する男…。
このシチュエーションだけで
2時間魅せるヒッチコックの演出力と
脚本がやはり素晴らしいと思いました。
最近ではCGだの3Dだの技術ありきになりがちですが
やはり「何を伝えるのか」あっての技術であるべき。
だいぶ昔の技術、単純といえるストーリー乍ら
心理が計算し尽くされた構成力に脱帽です。
クラシック作品、観るまで苦手なんですけど
これは観ておいて、本当によかった。
メイキングも素晴らしかったです。
「裏窓」殺人事件―警視庁捜査一課・貴島柊志 (中公文庫)
警視庁捜査一課・貴島柊志シリーズの第2段です。
前作同様、少しだけ切れ者の貴島刑事が事件の真相に向けて紆余曲折しながらも進んでいきます。
相変わらず、無理なく予想外の展開にもっていくのがうまい作家だと思います。
前作が楽しめた人は問題なく読めます。
ただ、著者の解説にもある通り、エピローグが余計でした。