エフスタイルの仕事
エフスタイルは若い2人の女性による、地に足のついたデザインの会社だ。
彼女たちは大学卒業時、ある偶然の成り行きから、会社に仕事を与えられる道を選ばず自分たちの仕事を始めることになった。以来、郷里の町工場や職人の人々とともに、彼らの技術や愛情をいかしたモノをつくり、つくりつづけ、全国のお店に卸している。
「就く」とか「与えられる」とか「選ぶ」といった言葉には、その言葉を使う人の仕事観が顔をのぞかせるが、彼女たちは仕事を「つくり」「育て」ている。
デザインの未来がどうのこうの語る人、とくにそういうことを語りたがるデザイナーは多いが、僕は彼女たちの実践の方に未来を感じる。
北越雪譜 (岩波文庫 黄 226-1)
東北関連のニュースや旅番組でしばしば引用されるこの本。タイトルを耳にされたことのある方もいるのでは、と思います。
資料的価値はもちろんのこと、バラエティに富んだ内容と詳細な描写はなまじな紀行文より面白いです。それがいわゆる「地元ネタ」に終わっていないのは、全編を貫く牧之の客観的なまなざしによるものではないかと思います。
現代とは異なる認識もみうけられますが、その洞察力と、時に冷徹にも思える筆致によって描き出される雪国の姿は恐ろしくもリアルで、読む側の想像力をぐいぐいとかきたてます。とりわけ民俗学、柳田國男が好きな方にはたまらない本ではないでしょうか。
巻末にはこの本が刊行されるにあたっての紆余曲折が載っており、山東京伝、滝沢馬琴が登場し、意外なエピソードが綴られていて、これも興味深いです。