エヴリディ・バッハ~究極のバッハ・ベスト
バッハなら何でも聞いていたい、という私には嬉しい企画のセットです。バッハ作品のCDはたいてい持っていますが、ショップで見て思わず買ってしまいました。仕事をしながら、BGMのようにバッハをかけたりしますが、無伴奏にしようか、それともきょうは合唱曲の気分かと、迷ったり、あるいは聞いていてCDを替えたりする、そんな手間も気遣いも要りません。お任せで、いろいろ聞けて、しかも全部バッハです。なんとぜいたくなこと。
7枚のCDはSUNDAY「新しい1週間に向けて」からSATURDAY「心豊かな週末」までの1週間という趣向で、バッハ作品がジャンルを超えて組み合わせられ、1枚が70分前後です。無伴奏ヴァイオリンの「シャコンヌ」などは水曜日にはピアノで、土曜日にはシェリングのヴァイオリンで聞けます。もちろん15分ほどの演奏フルで入ってます。よくある寄せ集め名曲集のようにサワリだけなんてことはありません。逆に、平均率クラヴィーアを1時間も2時間も聞き続けたいわけではなく、20分も聞いたら、チェロが聞きたい、コラールが聴きたい、というわがままな聴き方が出来ます。(きっと本格的なバッハファンは邪道とおっしゃるでしょうが、大きなお世話です。)
今、フライシャーでピアノ版「シャコンヌ」が終わったら、グールドの「ゴールドベルク変奏曲」のアリアが聞こえてきました。これで水曜日はおしまいです。いいですねえ。心豊かな気持になります。
イマージュ クラシーク~ベートーヴェン
私はベートーヴェンといえば「第9」や「運命」のような重厚でメロディがシンプルでわかりやすくて迫力のある厳粛な音楽というイメージだったのですが、このアルバムはPOWERFULだけじゃない様々な曲が詰まっています。
DISC1の#1はベートーヴェン唯一のオペラ曲(歌はなし)や、DISC2の#2 #3 #5 #7のピアノ曲は、静謐でなおかつロマンティックな曲で夜にぴったりです。タイトルしか聞いた事がなかった#2「月光」#7「悲愴」もタイトルだけだと暗いイメージがしていたのですが、全然そんなことはなく、ベートーヴェンが恋していた時に(生涯独身でしたが、恋多き男性でモテていたと解説に書いています。)書いただけあって、柔らかくSWEETで美しい曲でこのアルバムの中で1番好きです。
逆に#8〜#10は爽やかで、明るい気持ちになり高揚感あふれる感じで憂鬱な朝にも?晴れやかな気持ちになるような曲です。
DISC1の#3 DISC2の#4 #8 #11は小中学校の掃除時間にかかっていたこともあり、これもベートーヴェンだったんだ!と今更ながら新しい発見でした。
2枚組でジャケも美しいですし、ベートーヴェンについてや各曲の解説・曲にまつわるエピソード等もわかりやすく書かれていますので、クラシック初心者の私にはありがたいです。
欲をいえば「第9」「運命」第1章も聴きたかったです。
ヴァルトビューネ1992 フレンチ・ナイト [DVD]
1992年に、NHKで「ベルリン・フィルのピクニックコンサート」のタイトルでも放送された、野外音楽堂での楽しい夕べの模様を。美しい映像で記録した傑作DVDです。
まだ日の明るい頃からコンサートがはじまり、日が落ちて行くにつれて、幻想的な雰囲気が画面いっぱいに広がっていきます。視覚的にも大変美しい作品です。
また、客席の模様も時々写るのですが、寝っ転がっているひと、持ち込んだご飯を囲んで食べながら聴いている人、日が暮れてからは花火をする人と、いかにもこの野外コンサートを楽しんでいる様子がほほえましく、見ていて実に楽しい感じになります。
音楽に関しては、ただ賞賛するしかできません。指揮者、ジョルジュ・プレートルは1924年生まれでかなりな年齢にもかかわらず、全身から音楽を出し惜しみしないといった渾身の指揮です。あるときは恍惚の表情で、またある時は鬼気迫る表情での指揮は、一見どころか何度でも見る価値があるでしょう。
おすすめの一言ではすまないほどの、素晴らしい一枚です。
シューマン&グリーグ / ピアノ協奏曲
私にとってこれが最高の一枚です。双手のピアニストとして甦ったフライシャーの姿をテレビで見て感動しましたが、両手であろうと片手であろうとこの人の音楽的思考に変わりはありません。一点一画もゆるがせにしない楷書の演奏、という点でフライシャーとセルには親和性があり、シューマンの香気がそうした緻密な演奏の中から漂ってきます。同じコンビによる「パガニーニの主題による変奏曲」も素晴らしい演奏です。