中山ラビ ゴールデン☆ベスト
消費財として換金されることを拒否する歌がここにある。基本姿勢は、目の前の聴衆に対して歌声をぶつけるもの。世の中と対峙し、大見得を切って歌う。お代は聴いた人のお布施だ。経済的な価値交換とは違う。河原乞食か大同芸人の生き様だ。
語りで始まり、途中からメロディに載せる「夢のドライブ」が圧巻だ。自由の影である孤独を確信的に抱えこんで揺るがない。
私ってこんな
ラビの不朽の名盤。いったい何回ターンテーブルに乗せたことか(LPだったので)。「13円50銭」は、関東大震災のときに、自警団が朝鮮人を見つけ出すために(暴動を恐れるデマゴギーが流布された)、通行人にいわせた言葉であった。「わたしが望むのは」は、時代を感じさせながらも普遍性のあるモチーフで、いま聴いても色褪せない。それから「バッタのように」、「ちんちん電車」の歌詞は最高で、本レビュータイトルのようなフレーズも出てくる。言葉にまで酔った曲でした。どうか、この名盤を風化させないで欲しい。
ラビひらひら+時よおやすみ+ラビもうすぐ(抄録)
「ひらひら」中山ラビ
初めて聴いたときの、戦慄と感動が今も残っているのはなぜだろう。
「川にそって」この曲を聴くたび私は、どこにいても故郷京都の鴨川を歩くことが出来る。
「人は少しずつ変わる」を暗闇で聴きながら、人の不思議さ、頼りなさを思い知り、
「たいへんだあ!」で、自分の殻をコナゴナにされた。
「わかれ」のラビの歌声とアルペジオに、涙を流したことも一度ならず・・ある。
「いいくらし」「祈り」と続くエンディングがとにかくすばらしい。
この二曲の合間のレコードの隙間が生み出す、ほんの一瞬の時を待つ気持ちを、
なんと表現すればいいのだろう。
“手をひらけばそこに五本の指があり、ふりかえればそこにまっすぐにカゲふたつ”
この歌詞が表す世界が、私は・・どう表現したら一番ぴったりするのかわからないほどに・・好きだ。
このCDにはアルバム「もうすぐ」の曲も収録されているが、
11曲目を聴き終わったら一旦デッキのストップボタンを押してもらいたい・・・。
そして、しばらくしてから12曲目以降を聴いてもらいたい。
この気持、わかってもらえるだろうか?
わたしのふね
埋火はCDが3枚目になり、どのCDも購入しています。今回のアルバムがサウンドとして、それぞれの演奏がきわだち、安定しているように思いました。
残念ながら、ライブはほとんど行っていませんが、今回の「わたしのふね」を聴くにつけ、演奏が上達しているのが伝わります。
歌詞が僕の心にしみてきます。
マリッジ・ブルースの「雨上がり 低く沈む雲 届かない歌は ハミングにかえて」
なぞなぞの「夕立で生まれかわる まちのいろが増すころ わすれられる過去」
サマーサウンズの「何度目の朝 泣いて起きた テレビでは今日も絵空事 悲しい夢はおしまいのはじまり」
などなど、曲を聴くたびに、その時の僕の心情を映すように、その時々の歌詞がうかびあがります。
けして、派手ではなく、ありそうで、なさそうな日本のバンドだと思います。
何度も聴くうちに、しみてくるアルバムだと思います。